5話|戦闘の結末と目的地

第1章 冒険の始まり

 僕は木の棒を横に構え、さっきゴブリンがやったのと同じように攻撃を仕掛けた。

ゴブリンはニヤリと笑うと、さっき僕がやったのと同じように木の棒を下げて構え、右側からくる僕の攻撃を木の棒で防ごうとした。

今だ!

僕は体をひねって360度回転させ、右手で木の棒を持ち、回転した勢いそのままに反対側からゴブリンの頭めがけて木の棒を振り払った。

「これならどうだぁぁぁ!」

ゴブリンの顔面に攻撃が当たり、 ドスッ という音がした。

すると、ゴブリンは後ろによろめいて、倒れると同時に消滅した。そしてドロップアイテムが地面に転がった。

「よっしゃ! 倒したぞ!」僕がそう言った直後に、響希とクロはオレンジ色の淡い光に包まれた。

「何だろうこの光。なんだか疲れが取れて、力がみなぎってくるような感じがする」死んだふりをしていたクロと彩奈も起き上がった。

「ありがとう響希! 見直しちゃった! ちゃんとモンスター倒せるじゃない」

「ありがとう響希! じゃねぇよ! 戦ってくれよ」

「え、嫌よ。負けたらどうするのよ。死んじゃうのよ? あんたはあたしが死んでもいいって言うの?」

「はぁ~もう。そういう意味じゃねぇよ」

「そんな事よりさ、ねぇ、このオレンジの光ってってレベルアップじゃない? きっとゴブリンを倒したから経験値が入ったのよ」

「なるほどな。クロは経験値が欲しかったからちょこっとだけゴブリンの事をひっかいたのか」

「わん!」

「クロ、次戦わなかったらぶち殴るからな」

「く~ん」

「クロちゃんは犬なんだからしょうがないでしょ。それにしてもクロちゃん、ちゃっかりしてるわね~。あたしもやっときゃよかったかしら」

「彩奈まで何てこと言い出してんだよ、勇者の職に就いてんだぞ? 魔王討伐する奴が何でゴブリンと戦う事を拒んでんだよ」

「あ・・・・・・あたしは平和主義なの。だから戦わなくていいの」

「なっ⁉ ふざけやがって、戦わないならおいてくからな」

 僕はゴブリンからのドロップアイテムを拾うと、そそくさと歩いて行った。

「ちょっと待ってよぉ~。次は戦うからぁ~。・・・・・・おいてかないでよぉ~」

 その後は順当に進むことができ、昨日は一日中きゅうけ~い、きゅうけ~いとわめき散らかしていた彩奈も、ゴブリンが出たことを皮切りに、ピタッと後ろをついてくるようになった。クロは途中で小便をしたり草を食べたりしていたが、元気に後を付いてきている。

「お、彩奈! 王都が見えたぞ!」

 目の前にそびえる巨大な防壁。その向こうには真っ白な城が青空に映え、周りには無数の建物が立ち並んでいるのが見えた。

「はぁ~疲れた、王都に着いたらまずは宿探しましょ?」

「そうだな、荷物を置いたら腹ごしらえだ」

「さんせ~い!」

「わん!」

王都の正門はかなり混雑していて、旅人の行列ができていた。何故こんなに行列ができているのか門番らしき人に、聞いてみることにした。

「あの、ここが最後尾ですか?」

「ああ、そうだよ。それにしてもこんなにたくさん集まって来て・・・・・・全く困ったもんだよ」

「何時間くらい待ちますかね?」

「さぁ・・・・・・どうだろうね、三時間くらいじゃないかな」

「三時間⁉」彩奈が思わずそう口にした。

「三時間待っても入れない人もいるんだよ」門番がそう言ったので、響希がそれについて質問しようとしたが、彩奈もこの行列に疑問を持っていたらしく、門番にこう聞いた。

「何でこんなに人が集まって来ているんですか? 近いうちにお祭りがあるとかですか?」

「おや、君たちも王都にかくまって貰おうとしていたんじゃないのかい?」門番にそう聞かれ、響希はこう答えた。

「違いますけど、職業の適性検査で優秀な職の人は王都に行かないといけないと聞いたので」

「おや、そうだったのかい。近々モンスターの出没が相次いでいるだろ? それで自分の村を捨てて王都に逃げてきている人が多いんだ。この行列も殆どがそういった連中さ。適性検査が優秀だったんだろ? 裏道から通してあげるから付いておいで」響希と彩奈は門番に付いて行った。

「ここを通る前に手の甲の紋章を見せてくれるかい?」門番たちの使っている事務室の中で、響希と彩奈はそう聞かれたので、二人は手の甲を見せた。門番は二人の手の紋章を魔法でできたカードで読み取ると、彩奈の紋章の名前に勇者と出てきていたようで、凄く驚いていた。

「これは凄い、とうとう勇者様が現れたのですね。疑って申し訳ありませんでした。どうぞお通り下さい。おつきの方も、ささ、どうぞどうぞ」

 響希たちは本来なら三時間待ちの正門の検査をほぼ顔パスのような状態で入ることができた。

石畳の広い道。行き交う馬車。屋台から漂う香ばしい匂い。あちこちから聞こえる商人の呼び声。

懐かしいなぁ、モンスターが出没してからは王都に来ることはなかったけど、前に来た時のまんまだな。

僕が昔を思い出して辺りを見渡していると、彩奈がこう言った。

「宿に荷物置いたら何食べようかな~」

「戦わなかったのに僕より早く腹減ってんのかよ!」

「戦っているのを見ていたから、余計お腹空いているのよ。いい? スポーツ観戦はプレイヤーよりサポーターがお腹がすくのと同じ原理なのよ。覚えておきなさい」

「いや、意味分かんねぇよ」

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